Amazon・本のサイトを「清眞人」で検索すると、
私が出版したAnazon Kindle電子書籍が表紙画像付きで出てきます。関心をもたれた本をクリックすると、その本の概要(清、執筆)がでてきます。概要には、その目次も含まれています。
ぜひご参照のほどを!
以下2冊については表紙の帯が見えにくいので、概要をここにも掲げておきます。
内容紹介 性愛哲学日記Ⅰ
半文学的スタイル(主人公にLを設定した創作日記小説)による性愛についての哲学的かつ美学的考察。
Lは、クールベやロダンあるいはピカソの絵画のなかに男にとりついた「ヴァギナへのオプセッション」の象徴を見いだす。それに対する哲学的ならびに美学的考察を皮切りに、Lは一方ではフリーダ・カーロに導かれ、他方ではシュールレアリストのレリスやバタイユ、ダダイストのグロスに導かれる。
この思索の両極のあいだには二つの世界大戦が激化させる母権的心性と父権的心性との確執がよこたわっている。フリーダの極は太母神的母権的な母性愛観念を起源とする性愛観を代表し、それは第一次大戦前の前期ドイツ表現主義を特徴づける性愛の幸福なユートピアやオットー・グロスらの母権主義称揚と一つのものだ。
だが、この潮流は一転して、大戦の体験から生まれるドイツ表現主義後期のダダイズムにおいては、真逆にも「娼婦殺し」テーマに極まるレイプ欲望の破壊的暴力性、母性嫌悪こそが画家たちの性愛表現の中核に躍り出る。
後者に対するLの考察は香川檀やリンダ・ニードのポスト・モダン的なフェミニスト的思考との対話でもあれば対決である議論をとおして紡ぎ出される。またそれはD・H・ロレンスにも及ぶ。
Lはサルトルから「愛の半真理性」の哲学を引き出し、それをニーチェとの対決点に据える。実はニーチェこそは父権的性愛観の祖型そのものにほかならなかった。実に彼なしにはシュールレアリスムもダダイズムもあり得なかった。そしてまた彼はポスト・モダン思想の祖型でもあった。総じて、Lの思索の根底にはニーチェとの対決が波打つ。その対決の端々が随所にわたって顔を出す。そのようにしてLは現代思想の揺籃期を再訪し思索の彷徨を重ねる。彼の哲学は同時に本質的に美学でもある。それが彼の思索日記となってくりひろげられる。
目次:レリスの日記(二月十二日)/ ヴァギナへのオプセッション(二月二〇日)/
フリーダから再びレリスへ(二月二八日)/ フリーダにおける女と母(二月二九日)/
愛の《半真理》性について(三月五日)/ ドイツ表現主義の転回(三月十七日)/ ジョージ・グロス考(三月二五日)/ フリーダ・カーロ再考(四月十日)/ 対象イメージと自己イメージとの相互媒介性(四月十九日)/
全体性の問題(四月二〇日)/ 妄想化と愛(五月二〇日)
内容紹介 Lの性愛哲学日記Ⅱ
半文学的スタイル(主人公にLを設定した創作日記小説)による性愛についての哲学的かつ美学的考察。『Lの性愛哲学日記』の第Ⅱ巻。
第Ⅰ巻の考察の基底によこたわっていた性愛をめぐる母権的心性と父権的心性との確執、この問題を追ってLはバッハオーフェンに導かれギリシアを放浪する。『母権論』を書いたバッハオーフェンこそこのテーマの最初の定立者だからだ。第Ⅰ巻に登場した幾多の人物とテーマがあらためてこの確執の根源から照らし直される。
まさにニーチェが、ロレンスが。そして、たとえば性の快楽を「乗馬の快楽」に喩えるニーチェの「占有と侵犯としての性愛」主義に対して、ルー・ザロメの母性愛起源の「愛撫の形而上学」が対置され、マックス・ヴェーバーの『古代ユダヤ教』を梃に古代ユダヤ教の父権的性格と一つとなった女性嫌悪(ミソジニ―)が抉り出され、問題に付される。ロレンスについていえば、彼におけるアスティカ太母神文化の視点からの現代性愛批判、すなわち宇宙的交信を生きる古代的な「大いなるセックス」と近代的自我のいわばサド=マゾヒズム的快楽苦悶としての「小さいセックス」との対置的区分が考察の場に引き出される。
第Ⅰ巻が開始した女性の裸体美に関する考察は、いったん根源へと遡り、ヴィーナスの起源を太母神像のなかに探るとともに、母権制に対する父権制の勝利とともにその母性的美学がいわば娼婦的美学へと変容する過程が抉り出される。
また母性愛と愛撫の身体快楽がレイプと占有の身体快楽へと変容する過程を視点に据え、あらためて母子相姦のオイディプス的悪夢の含意が問い直され、それはケーテ・コルヴィッツが告白する息子ハンスとの母子相姦の夢の記述と関係づけられる。男女の性愛快楽それ自身の本質のなかに母子の母性愛快楽の核心をなす愛撫快楽がどのように織り交じっているかという問題をめぐる画期的分析が示される。そのようにしてLは性愛快楽の本質に〈変容〉の快楽を見いだす。
Lは現代哲学と美学の不安に満ちた揺籃期を古代における母権的心性と父権的心性の分裂と相克へと媒し、両者のあいだをくりかえし往還することで、思索の放浪者たる彼の身の証を立てるのだ。
目次:アテネ国立考古学博物館にて(一月二〇日)/母性愛と性愛(一月二二日)/裸体(一月二三日
美の性的源泉(一月二四日)/ヴィーナスの誕生(一月二七日)/ザロメの「愛撫の形而上学」(一月二八日)
母子相姦(二月一日)/王の黄金マスク(二月三日)/苦悩者、王(二月四日)/ 広場の大道芸人(二月七日)